「真夜中の情欲」
訪れたのは、闇が全てを隠した頃。
聞こえてくる足音に、静かに、政宗は目を覚ます。
閨の襖が開かれて、横になる政宗の身体の上へと慶次が、乗りかかる。
「政宗、政宗」
あつい。
耳元で、呼びかける声は囁き。
背中へと片方ずつ腕を回されて、慶次の着物は全て脱がされていく。
下肢を隠す白布も綺麗に取り払われて。
覆うものが無くなるそれは、既に硬く、浅ましい姿を晒していた。
「発情期か?」
「アンタになら、いつも」
「俺だけにか」
「迷惑かい?」
「NO」
寧ろそうでなければ、だろう。
覆い被さっていた身体を抱え、組み敷いて、政宗は着物に隠されていた白い肌の上へと唇を這わせる。
ぴくりぴくりと、初めは小さな反応から。
次第に、揺れて、乱れて、開かれる脚。
その中心の起立した慶次自身を、政宗の掌が包み、擦る。
すぐに滴る液も、手に受け止めて、塗り込んで。
はふ、と、慶次は熱の篭る吐息を洩らした。
「…けいじ…」
「な、に…?」
「名前、を」
「…まさむね…ね、まさむね…俺のも、呼んで…?」
政宗を見詰める瞳も、濡れていく。
誘っていく。
「…奥、が…まさむね…っ」
上擦った慶次の声を聞いて、政宗とて、平静を保てるわけも無い。
濡れた指先、達する前に締まる襞を擽って、溶き解し。
幾度も、幾度も、貫いた。
「…は、あんっ…まさぁ…ッ!」
「けい、じ…けいじっ…!」
この姿は、己にのみという優越感。
雄に絡み付く肉壁を擦りながら、先端を指の腹で押さえつけながら。
(離さない。離さない。俺だけの)
政宗の唇が、弧を、描いた。
そんな顔を見詰めながら、首に腕に腕を絡め引き寄せて、慶次は、再度囁いた。
「ねえ俺も…離さない」