「ふるんと、ゆれた」
何でなのかわからない。
どうしてこうなったのか分からない。
でも、原因だけは。
「政宗ーーーッ!!!」
スパンッ、と勢いよく政宗の部屋の襖が両側に開いた。
盛大に足音を立てていた為に、来る事は予想済みだったであろう部屋の主は溜め息を洩らしつつもそちらを見遣る。
音の原因である慶次は、肩で息をして両手を開いた格好で止まって。
書を認めていた筆の柄で頭を掻きながら視線を移すと、妙な事に気付く。
「……?」
「政宗ー…!」
「…慶次、身体のlineが細くなってねェか?」
腰の括れが、より一層目立って。
そのくせ尻はふっくらと形が良く大きく。
しっかりとついていた筋肉は、今そのなりを潜めて慶次は全体的に細くなっている。
そしてその細さ故に目立つのは。
「それも、あるけど…それよりも、おっきくなったんだ!」
「…I bet……」
ぽってりと、細い身体に目立つのは二つの膨らみ。
「俺の胸が、女の子みたいに!!」
言いながら、いきなり広げられた合わせ目に、筆を落としてしまうのは政宗だって男なのだから仕方がない。
何か言おうとする口を塞いだのは、慶次の目に溜まる、大きな涙。
暫し慶次の身体に魅入って、畳の上に、大きな雫が垂れた時漸く我に返ることが叶う。
軽い咳払いの後、とりあえず、と呼ばれ慶次は大人しく政宗の前へと腰を下ろした。
正座をし、目にいっぱいの涙を溜めながら縋るように見詰める。
痛いところや苦しいところはと問われても、何も思いつかない。
ただ、身体が変わってしまった。
見下ろしても膨れる胸で真下は見ることが出来ず、男としての、自分の逸物は何処へ行ったのかなど分かるわけもない。
もう一滴、涙が落ちるその直前、政宗の指が慶次の頬に触れる。
「Don't worry」
涙がまたあふれ出したのは、目の前の笑みが、余りに優しかったから。
「痛みがねェなら、命に別状はねェだろ。」
だけど。
「とりあえず、味見してみるか」
そういって触れた舌先は、慶次の涙を止めるには十分な効果だった。
「まっ…ちょ、なっ…」
余りの事に、慶次の言葉が切れて、切れて。
優しいなんて一瞬でも思って、損をした。
着物の合わせ目を掴んだまま、慶次の動きは止まってしまう。
混乱する頭の中とは対照的に、政宗の舌の触れた乳首はぷくりと立ち上がって、明確にその形を示した。
素直な身体の反応に、政宗は一人ほくそ笑む。
男のものよりも大きく、舌で転がしてやると弾力が強くて。
押し潰しては、捏ねて、離して。
ねっとりと、舌を絡ませていく。
しつこい程に弄った政宗が舌を離すと唾液の糸が、ツ、と垂れて。
息を吹き掛けてやると、慶次の身体は小さく跳ねた。
赤く色付いていたそれを政宗は、口の中へと含んで、前歯を緩くたてながら幼子のするように吸い上げる。
「あ、んっ…」
声が、上がる。
濡れた音が響く度に、肩が震える。
下肢が熱く、疼きだす。
擦り合わせた腿の付け根の内側が、ぬるりと滑る感覚など、今まで慶次にはなかったもので。
両手を服の合わせ目から離し、政宗の頭を両腕で抱き締めた。
やり過ごせない身体の熱と下腹部の熱。
普段とは違う身体に戸惑いと、ある種の恐怖が芽生えようとした時に。
「慶次…I love you」
顔を上げて、政宗は慶次を見詰める。
その優しい表情と、意味を幾度も教えられた異国語で。
先程とは違う潤みで、慶次の目からはもう一滴、涙が、零れた。
「…反則だ、バカ…」
唇と唇と、触れ合わせ。
身体を押し倒す腕に、もう、流されてしまえ。
=その後=
結局、慶次の身体は一度の情交の後元に戻る。
心の底から悔やむ政宗を他所に、慶次は上機嫌。
「ところで慶次、何か妙なもんでも食ったんじゃねェのか?アレ」
「あー…多分まつねえちゃんが懲りずに持ってきた、前とは種類が違う南蛮野菜の所為だと思う。盗み食いしたら、あんなになっちまってさ」
「hum…」
予想通り過ぎる答えは今のところ置いておくとして。
慶次が席を空けた後、書き置きを残し、政宗は刀を差して馬を繰った。
行き先は勿論。
「Go!!ザビー教ッ!!!」